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アフリカマナティーの輸送プロジェクト

Project Transportation of African Manatees.
(Trichechus senegalensis)

現地にて…2009年10月10日、弊社は韓国最大の水族館COEX AQUARIUMへアフリカマナティー2頭を輸送し、納品することに成功した。
世界中にマナティーと呼ばれる生物は3種類がいる。アマゾンマナティー、アメリカマナティー、アフリカマナティーである。前者2種はワシントン条約付属書Ⅰに指定されており学術目的の商取引は一切認められていない。西アフリカに分布するアフリカマナティーはワシントン条約では付属書Ⅱに指定されている動物だ。これらは全て海牛類と呼ばれる仲間である。海牛類は国際的な保護や監視する取り組みが展開されている。
1996年には日本の某水族館がギニアビサウにて自らの手で捕獲し日本への輸送に成功している。このとき捕獲された2頭のアフリカマナティーが世界で唯一飼育されている個体である。

偶然か必然か…10分後のオファー

2009年2月23日、有限会社ブルーコーナー社長「海の手配師」こと石垣幸二氏より電話があり、「韓国のCOEX AQUARIUMがアフリカマナティーを探しているんだけどできないかなぁ? 相当困っているんだけど…」との内容であった。私は「二つ返事で出来ますよ」と答えた。なぜなら彼の電話の10分程前に従業員と「アフリカマナティーでも輸入して水族館に納入しようか」とたわいもない雑談をしていた直後であったのだ。気持ちが悪い程の偶然であったが本当の話である。私の人生の中でアフリカマナティーなんていう単語が出てくる機会は数回しかないにもかかわらず、同日にしかも10分後に問い合わせが来るなんて…。

私は急遽ギニアビサウ、ギニア、マリ、リベリア、シエラレオネ、ガーナ、トーゴ、ベナン、カメルーン、コンゴ民主共和国の政府及び現地エージェントに連絡を取りアフリカマナティーの輸出許可書の発行可否を確認した。各国政府の反応はまちまちだったが数カ国から輸出許可を発行してくれるとの回答が24時間以内に送られてきた。

一路現地へ…

輸出許可書が発行され正式に石垣氏とアフリカマナティー2頭の売買契約書を締結したのは4月14日になっていた。契約書は細部にわたり石垣氏が作成したものに署名・押印をした。
輸出許可書が出て無事調印が終わったが次は動物の確保である。体重が500㎏前後にもなるので捕獲も難しい。アフリカマナティーは基本的に淡水域にいることが多いので捕獲は生息地の河川で行うが捕獲のための許可も申請しなければならない。捕獲許可の申請手続きは困難の連続であったが1ヶ月程で捕獲許可が下りた。
捕獲し、生簀に移動したアフリカマナティー達
安全に無傷で捕獲することが第一条件であるため日本国内の漁網メーカーと打ち合わせをし、万全の態勢でプロジェクトに挑んだ。
弊社からもスタッフが航空機を4回も乗り換えて現地へ飛び、現地スタッフへの指示を行うこととした。電話回線もインターネット回線も非常に心許ない中でも少しずつ報告が入ってくる様になった。
エージェントには輸送前の畜養・検疫生け簀を造る様に指示。捕獲後すぐの輸送は動物の状態を考慮すると負担が大きすぎると考え、また、検疫をするために現地にコンクリートで生け簀を造ったのだ。これには現地エージェント達も驚いていたがプロジェクトを円滑に進めるためには必要不可欠であった。
紆余曲折、ありとあらゆるトラブルと日々対峙しながらも♂2頭・♀1頭のアフリカマナティーを捕獲することに成功した。

輸送用のコンテナを作成するため買い出しに…材料を車の屋根にそのまま乗せていました。この車ちゃんと走ります。

生簀を作ろうと地面を掘り返しても大岩ばかりで工事はなかなか進まず困難を極めた…。

急遽予定を変更し、コンクリート製の生簀を作成。まさか地球の裏側で大掛かりな工事をすることになるとは…。

ここまでで弊社スタッフの現地滞在は延べ2ヶ月余りになっていた。このころになるとスタッフも日本に帰りたいと漏らす様になった。アフリカの人々との2ヶ月もの生活は文化の大きな隔たりがあるので相当辛いのは想像に難しくない…が、弱音を吐かれても帰国させる訳にはいかない。アフリカに2ヶ月いられることをハッピーと感じなければまだまだである。
専用の輸送箱は空の状態で200㎏にもなった。マナティーの輸送は国際航空協定で指針が決まっているのでマニュアル通りに作成していった。

そして…、オペレーション開始

輸送用のコンテナも完成。しかし、本番はこれから…
輸出の段になり航空会社との交渉は難航を極めた。今まで20年以上この仕事をしているがアフリカマナティーの輸送程、困難だった交渉はなかったと断言できる。業務上の機密事項に関わる問題でもあるので詳しいルート等は明らかに出来ないが、現地を10月7日に出発し、通常の輸送では絶対に通過させないルートを飛ばしてタイのバンコクへ到着したのは10月9日の午後であった。
私はバンコクへ飛びバンコクの貨物制限区域への特別入構証を取得してマナティーと対面、許可をもらって輸送箱に入って個体確認。体表は乾いていたが体調は問題なさそうであった。タイ政府の水産局からも検査官が到着し積み替え許可が発行された。タイでは水分補給と体調確認をするにとどめたが政府系水族館関係者や航空会社職員がタイ初のアフリカマナティーを一目見ようと押し寄せた。韓国へのフライトは夜である。私も日本行きを急遽変更して韓国へマナティーと一緒に行くことにした。

2009年10月10日早朝の韓国仁川国際空港は多くのマスコミのテレビカメラが大挙して待っていた。航空機からの積み降ろしから水族館までの輸送、搬入まで密着取材が続いた。私の仕事は水族館まで無事にマナティーを納品することなのでカメラの放列には閉口したが韓国国民のマナティーへの興味が肌で感じられ嬉しく思った。
今回、アフリカマナティーの輸送に成功したがこの成功の影には大変多くの方の協力なくしては実現し得なかった。石垣幸二氏及び、COEX AQUARIUMの関係者の皆様をはじめ関係諸氏にこの場をかりて心から感謝申し上げる次第です。

有限会社レップジャパン
白輪剛史

※業務上および契約にかかわる機密事項に関しましては公表しておりませんのでご了承ください。

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動物取扱業登録 販売 第220106076号
動物取扱業登録 展示 第220106078号
動物取扱業登録 貸出 第220106077号
登録年月日 平成18年12月25日  
有効期間末日 令和8年12月24日 
動物取扱責任者 江崎仁